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チャイニーズレストランへ
ひとまず、オフィスへ戻ることになりました。道すがら、窓越しにいろんな街並を見ていると、風さんのオフィスのある地区はどうやら高級住宅地らしいと推測しました。緑豊かな通り沿いの各家の門の内側には見張り小屋があって、門番らしき人が椅子に坐ってるのが垣間見えます。近くの保育園では、若いママたちが愛車でお迎えにきています。そのにぎにぎしい光景を見ていると、まるで東京の住宅地にいるかのように錯覚します。
 
風さんはオフィスの前に自分の車を止めて待っていました。私たちはそのまま風さんの車に移動しました。「工場はどうでした?」「楽しかったぁ。興味深いものがいっぱいあって、またゆきたいな」「いつでも何度でもどうぞ」「じゃあ、帰る前にもう一回いい?」「もちろん」とおしゃべりしていると「着きましたよ」とまた、立派な門をくぐって駐車場へと向かいました。車を止めて建物のほうへ向かうと赤い門が見えます。中華?
 
私たちは天竺へきて中華飯店へ案内されるとは夢にも思いませんでした。「チャイニーズ?」と、見れば明白ことを口に出して尋ねるのは、はしゃいでいる証拠です。「お好きすか?」で、「もちろん大好き!」と即答。天竺の中華ってどんなんふう? 期待と不安が入り交じって、おそるおそる中へ入ると、シックな高級レストランでした。予約の席が近づくと「ハーイ」「ハーイ」とにぎやかで、もうみなさまお揃いでした。
 
風さんはお友だちを紹介してくれました。風さんと同じくらいの年齢のカップルと、その娘夫婦が7歳くらいの女の子と、3歳くらいの男の子を連れてきていました。ご主人はアメリカ企業にお務めだそうです。ニューリッチの典型でしょうか、みんな西洋の服を着て、外国で身に付けた美しい英語です。残るは風さんのボーイフレンド。彼は実業家だそうですが、風さんによると、なにもしていないお金持ちの退屈男なのだそうです。小柄ですが、がっしりとした骨格の、白いシャツと、笑ったときの白い歯が印象的です。風さんは私たちのことを「今まで知ってる日本人とは違う」と話していました。