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カレーリーフだけは生じゃないとね、
diary photo 今年は梅雨が5月に来てしまって、6月は真夏の太陽がぎらぎら輝き、植木も私たちも干からび気味だ。早々とスイカを食べた。パイナップルも食べた。お昼に果物を食べないと、お茶だけでは水分の補給が十分にできない。
 ところで今年の田植えは終わったのかしら? 梅雨はもう来ない? さあ、自然まかせと言いつつも、準備も必要だから例年カレンダー通りなんだろうなあ。そうでもしないと調子狂っちゃうもの。
 そういえば、インドの人が異国で2日間もカレーを食べないと調子狂っちゃうって言ってた。慣れない気候で体の水分量が多すぎたり少なすぎたりして体調を崩すから、身体をスパイスで整えるのね。おそらく香辛料の種類の豊かさは世界一かも。
 カレーリーフの花が咲いた。なんともいえないいい香りに蜂も誘われてきた。緑冴えるひと枝の葉をシュッと指に集め、スパイスと一緒に香りを油に移すのだが、たちまち、あたり一面が気高いアウラに包まれて、ここはどこ? カレーリーフだけは生じゃないとね、if you can catch the scent of Veda… この芳香は望めない。

7月10日
diary photo 花壇からこぼれ落ちた種子から芽が出て、それを拾って花壇に戻したら、水を得た魚というか、ジャックと豆の木みたいに大きく伸びて、いよいよ結実の時が。
 その形態は宇宙船のようで、種が弾けて四方八方に風に吹かれて飛び散る仕掛けであろうか。いやはや、こういった自然の形を見るにつけ、私ども人間の仕事のおぼつかなさよと恐れ入る。ところでこの一粒の大きさに驚いた。
 なんて言ってたっけ、スープセロリっていうんだっけ? と、ガーデニング店で買った種子の入った袋を探し出して比べてみれば…わっ、大きさが全然違う。どうしたことだろう。先祖返りかしら? もとの種はハイブリッドってことか。
 いえいえヨーロッパ原産のセロリの原種と言われているよ。太い茎よりも葉を食するスープセロリは東アジアで改良を加えないで栽培されてきたものだそう。
 では、この巨大な種はどんな位置付けになるの? 野放しに大きく育っただけ。

7月20日
diary photo 以前から決まっていたことだが、東京から雑誌取材チームの訪れる日程が近づくにつれ、徐々にCOVID-19の感染者数は増え続け、新デルタ株感染者の割合も勢いを増すその様子を、はらはらしつつ見守っていた。「いらっしゃるならPCR検査を受けてきてね」。「はいっ、カメラマンも事前に受けていきます」。すてき。
 今や精神の健全な状態を保つことさえ難しいほどの新常態のなかで、マスクもアルコール消毒も検温もディスタンスもスマートに応答してくれる相手は大歓迎。
 東京では「見なれぬ景色へ」と題した2020/2021東京ビエンナーレが始まった。なかでも旧知の小池一子さんがキューレーションなさる「Praying for Tokyo 東京に祈る」は、東京の各所で混乱の現在を実感するようなアートを展示している。
 お盆も近づき、蝉の声がハウリングするような夏の盛り、人々の安寧を祈らずにはいられない。この地で最初にめぐりあった古代蓮の神々しい姿を捧げます。