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皮がシワシワになったら甘み最高潮らしい
diary photo 志摩に住むあの人より、可愛らしいフルーツボックスが届いた。「地元で採れたパッションフルーツです」というメッセージとともに。やや耳なれた名ではあるものの、私たちは未体験だった。箱を開けるとほんとに情熱的な香りが立ちこめて、わ、すごい。いつどのように食べたらいいのだろう。
 ネットで検索をしたら「和名をクダモノトケイソウという。由来は花が時計に似ているから」と写真が掲載されいた。めざまし時計のイラストみたいに線が太くて、わ、ホントだ、まさに。
 中南米が原産地だそうだが、東南アジアでも生産されるようになり、日本では鹿児島が生産高がもっとも多い。最近は熊本でも。えーっ、ここは熊本なのに。
 なんだか申し訳ない気もするが、珍しいくだものを頂戴するのは心ときめく。ふたりで半分ずつに切りわけて、スプーンで掬って食べてみた。タネを包むゼリー状のツルツルとした感触を味わうそうだ。酸っぱい。まだ早い。けれど美味しいね。
 皮がシワシワになったら甘み最高潮らしいので、箱から取りだして、どれどれ?まあだ、 watching something wonderful for her と追熟の経過をただいま観察中。

9月10日
diary photo 先週からずっとお片づけの毎日が続いています。少し衣類を整理しようと、一時保存箱を開ければ、年月とは恐ろしいもので、いつ買ったか覚えていないものが次から次へと出てくる。
 とくに骨折入院リハビリしていた時期は、衣類はすべてジャージーで、しかも日に何度も着替えるために同じものを数枚買って蓄えていた。一度楽する味を知れば、もとの仕立ての服に戻ることはなく、心も体もだんだんと楽な方へと堕落していく。いずれ記憶は過ぎ行く時の彼方へ。
 あるとき、日照りのきつい午後に萎えそうになって、このままでは前へ進めないと心機一転。古いジーンズを引っ張り出してみれば、年齢なりにまた違った着ごこちを味わい、よしっ、これからはこれで行こうと。それで衣類のジャングルから入院以前のものを出しては洗って陽に干し、昔観た映画「野生のエルザ」を思い出しながら、汗だくでアイロンをかける、繕う、リサイクル・サバイバルの日々。

9月20日
diary photo ひと昔前ならば残暑というところを、このごろは秋口になっても猛暑酷暑が連日襲う。さすがに食欲も失せて、私たちはふたりともすっかりやせ細ってしまった。
 「カステラ食べたいなあ」珍しく夫の方から言い出した。カステラねえ...少し指でつまむように押さえると、しっとりとしてなめらかなのどごしと、甘く楽しい思い出がよみがえってきた。1990年代のパリに長く住んでいた知人に「お土産は何がいい?」って尋ねたら「福砂屋のカステラ!」と即答されたのを思い出す。パリにはないのよ、ああいうお菓子は、って。長崎出島の時代にポルトガルより伝来した粉と卵と砂糖の南蛮和菓子は、黄金色にきりっと自立する。最後には、底に沈んでいるザラメを、フォークの背で薄紙からこそげ落としてカリッ、口の中のざわめき。
 ハッと我に返って「う〜ん、福砂屋のカステラだよね。熊本にあるかな?」って尋ねたら「あるよ、鶴屋百貨店の地下にある」即答だった。オーマイガッテン。

09月30日
diary photo

                  みなさまへ
 

 今年はこれまでになく激しい気象現象のなか、いかがお過ごしでしょうか? 
 ながらく連載してまいりましたdiaryを、しばらくの間お休みすることにします。
  東京から熊本へ引っ越してき2016年より、季節の変化のなかで暮らしを慈しむアイデアと、実践のヒントなど主に綴ってまいりました。 新しい地で遭遇したできごと、予期しなかった熊本地震に続く復興の日々は今も続いて終わることなく。
 世界の誰も予期しなかったコロナ禍をくぐりぬけ、世の中のありようは混沌として、急激に変わり続けます。この日記は誰とは無しに、ふと夜空を見上げれば同じ星空を見ている人がいると思うと、なにかしら前向きな言葉を星の連なりのように投げかけきたものです。またいずれ。 再開の節はホームページにてご案内します。

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