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モスリン : mousseline
さまざまな歴史上の記述や、民間伝承や、スロカ=slokasと呼ばれるサンスクリット語の韻を踏んだ二行詩によると、紀元前百年前に遡って、とても繊細な布がベンガルで入手できていたと考えられます。デュクルやモスリンのような木綿の布は一日にしてならず、デュクル織りは進化してモスリンとなったと考えられます。ジャムダニのデザインとモスリンは時を同じくして発達したようです。繊細な布はかつて、イラクのモスル=Mosulで織られていたので、モスルとか、モスリンと呼ばれていました。
ムガール朝 : Mughal
ムガールとはモンゴル人を意味するペルシャ語で、ムグールともモゴールとも発音します。テュルク(=トルコ)・モンゴル系の遊牧貴族バーブルを始祖(1526年)とし、インド南部を除くインド亜大陸を支配し、1858年まで存続していたイスラム王朝です。第3代のアクバル、第4代ジャーハーンギール、タージ・マハルの建造者の第5代シャー・ジャハーンらが有名ですが、ペルシャ文化の伝統を引き継ぐムガール皇帝たちは、武芸のみならず文化や芸術を保護する君主を理想としていました。
ダッカ地方 : Dacca
ダッカは現在のバングラデシュの首都ですが、ムガール朝時代には周囲の村々、ソナルガオン、ダムライ、ジャンガルバリ、そしてバジプ-ルは素晴らしいクオリティのジャムダニとモスリンを生むことで知られていました。ヨーロッパやイラン、アメリカから、そしてムガールのパタンからも同様に、貿易商人たちはこれらの布を取引していました。ムガールの皇帝、ベンガルの太守、そして多くの貴族たちも自分たちの君主のために、高品質のモスリンとジャムダニを求めて、ダッカの代理店と契約していました。
ジャムダニの色
もとは、白いモチーフがグレイの生地に施されていました。染料には蔓植物の花や葉を使います。あとになって、いろんな色の生地が使われるようになりました。1960年代には、ジャムダニは赤い生地に施されるのが流行りました。最近では、織り師たちはハーブ染料の代わりに化学染料で染めた細い糸を市場から買っています。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館では、白生地に白の繊細なジャムダニのコレクションを保有しています。