- 白生地に藍と茜
- ベンガルで昔から織られていた白や生成りのサリーの両端には、藍の青や茜の赤いたて糸で織られたボーダーと呼ばれる太い縞があります。ボーダーの糸を抜き取って縫い糸にしていたので、その二色の糸しか使っていないものが古いカンタであるかどうかを見分けるときのしるべともなります。近代になるとカラフルな糸が現れます。ちなみに青いボーダーは労働用のサリーです。それを見たマザー・テレサが「あれにするわ!」といって自分の修道院のユニフォームにしたのは有名な話です。
- ランニングステッチ : running stitch
- 布に対して垂直に針を落として、裏からも垂直に突き刺して、点線のように縫ってゆく。最もシンプルなステッチですが、細かく縫取るごとに柔らかな布の表面にはちりめんのようなディテールが現れ、さらにモチーフを色糸で縁取り、それぞれのディテールもランニングステッチや刺繍で満たされる。そして仕上げは裏と表、両面がまったく等価に行われるのです。
- 家で夕食を
- 宗教、民族、伝統のすべてにのっとって調理される家庭の料理を一緒に食べることは、家族同様のお付き合いの始まりでもあります。家によってスパイスの調合も、食材も、調理法も違います。風さんの家では肉や魚を食べないベジタリアンの料理でした。そのかわり、たくさんの木の実を使っていますし、豆を使った料理は煮たり焼いたり揚げたり蒸したりと、バリエーション豊かです。デザートは完熟マンゴーのプリン。かつて口にしたことのないデリケートな美味しさでした。
- シャワーを浴びて着替え
- 暑さと砂塵にまみれて、ぐったりとくたびれたからだと着衣を日の陰る時間に清めて、白い木綿の襞に花一輪携えて出かけるときの気分といったら、オアシスのようです。日中が過酷だからなおさら、癒されて甦るような毎夕の沐浴は、天竺ならではのリフレッシュ法です。どこの国においても清潔な身なりは、食事に招かれた客人のエチケットでしょうけれど。