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国外に流出
たとえば極端に経済格差のある、欧州の列強とアジアとの交易において、貧しい国々から優れた工芸品を大量に買い集めて、それを船で運んで各国に売って富を築く手段は、数世紀に渡って続きました。最近では経済的に目覚ましい発展を遂げた中国が、海外に流出した貴重な焼き物や書などの骨董を買い戻す動きが顕著になって話題に上りました。
パトロン : patron
芸術や技術、または特定の団体などを経済的に援助する後援者のことです。日本でパトロンというと水商売の女性にお金を出して援助する、あるいは芸者の旦那をさすことが多いのですが、英国では政治家の活動を支援する資産家や企業のこともさします。ラテン語の父という言葉から派生したパトロヌス（patronus）に由来しています。保護する人と保護される人の関係はまるで父と子のようなものだと。歴史上のパトロンとして有名なのは、ルネサンス時代のイタリア・フィレンツェの銀行家で政治家のメディチ家がボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチなどの多くの芸術家たちを支援しました。
ヴィクトリア＆アルバート博物館 : Victoria & Albert Museum
19世紀英国に君臨したヴィクトリア女王とアルバート公が基礎を築いた博物館です。各国の古美術や工芸、装飾デザインなど、多くのジャンルにわたる400万点もの膨大なコレクションを有する博物館です。もとは当時の産業技術の発展を背景に、工芸工業の振興のために早くから構想されましたが、1851年のロンドン万博の収益や展示品をもとに実現しました。優れた内容と質の高さが称賛され、とくにアジア美術、衣装、テキスタイルはみごとです。同世紀の詩人、デザイナーとして多方面で活躍したウィリアム・モリスのコレクションだったペルシャ絨毯も収蔵されており、見るものを圧倒します。